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2012年1月17日 (火)

在宅ホスピスを語る会

1月14日(土)は、『在宅ホスピスを語る会』
在宅ホスピスを経験した家族の方に、思いを語っていただき、皆でそれを聴こう、という会です。
数年前から県内各地で始め、昨年は10カ所ほどで開催しています。
各地で、それぞれの事情に合わせて工夫して開催しているようです。
クリニックでは、昨年第1回目を開催。今年2回目です。

前半は、おなじみSHANAさんのオカリナ演奏。
伴奏は夫の健太郎さんのギターです。円熟して来たお二人の演奏は、後半のご家族の話を聞くための、こころの素地を聞く人たちの中に作ってくれたように思います。

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Shanaさんの演奏のすばらしさは、あとで述べるとして、メインの3人の方の発表について。

98歳の義理の父親を奥さん(娘)と一緒に看取ったSさん。
病院が一番、病気を治して家に帰ってくるのが当然、と思っていたSさんでした。
肺炎を繰り返し、経過中に肺がんも見つかった義父。Sさんの奥さん(娘)は、家につれて帰りたい気持ちをなかなか夫に言い出せずにいたようです。
定期的に訪問してくれていたが訪問看護ステーションに相談。しっかりと後押ししてもられることを確信し、自宅につれて帰りました。
それから2週間。穏やかに過ごしたお義父さんは、子どもや孫たちに囲まれ、静かに自宅で息を引き取りました。

2人目は、38歳の息子を胃がんで亡くしたお母さん。
息子さんは、自閉症で高度の知的障害がありました。病院で、これ以上の治療がない、と言われたとき、息子を家につれて帰ろうと思いました。
彼女はこれまで、息子のすべての世話をやって来ました。歯磨き、食事、排泄、着替え、息子の世話が日常だったといいます。ですから、端から見ると障害を持った末期がん患者の息子を家で看るのは大変だ、と考えがちですが、彼女にとっては、これまでの生活を続けることにすぎなかった、ということです。
言葉でコミュニケーションが取れない息子は、病院で見知らぬ人たちに囲まれて過ごすより、自分がこれまで通り世話を続けようと思ったのです。
だからといって、息子のために自分を犠牲にしてきたわけではない、ともいいます。
息子のおかげで、いろんなところに顔を出すようになり、内向的な性格が、こうして人前で話ができるまでになった、と息子に感謝しています。
息子さんの存在と、彼のお世話をすることを通して、彼女の中に生まれて来た大切な価値があるように感じました。

3人目は、76歳の盲腸がんの夫を看取った奥さんです。
夫のKさんは、クリスチャンで、しっかりとした信仰と自己を持っている方でした。
がんの手術を受け、すでにステージⅢbと知って、その後の抗がん剤を拒否しました。
その後、ハイパーサーミアや漢方治療も行いましたが、これはむしろ奥さんが勧めて、奥さんのために通っている気配でした。
自分の今後の短い(であろう)人生を考え、いろいろと探して、当院にたどり着いたそうです。
自分の最期を託すにふさわしい医師かどうか、確かめに?当院をおとずれ、その後2年近くおつきあいしました。
その間に、ホスピスを体験する、と自分で探して阿蘇のホスピスに2週間入院したこともありました。
その頃は病気はあっても元気で何でもできていたので、2週間はゆっくり温泉でくつろぐ時間となりました。また、その間の時間を利用して、奥さんと思い出の場所にあちこち旅行などもしたそうです。
化学療法にとらわれていたら、このような時間は過ごせなかったでしょう。
主体的な生き方、自分のいのち、自分の人生の主人公として彼は生ききったのではないでしょうか。
肺転移がどんどん進行し、呼吸困難などもみられるようになりました。
筋力低下を補うためのリハビリに通ったりしましたが、病状は確実に進行。
痛みなどのコントロールのために、近くの緩和ケア病棟に入院しました。病状の進行度合いから、このまま緩和ケア病棟で・・と思われましたが、彼は約束の2週間で自宅に戻って来ました。
「あ〜、やっぱり、家はいいなあ!」
この言葉を聞いて、奥さんは最期まで自宅で看ることを決意したそうです。

3人の方それぞれに、深い思いを持って、患者さんと接して来たことが感じられました。
また、亡くなった方たちが、残された人たちの中で生きているのを知ることもできました。

こころが豊かになる集まりでした。

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