医師に対する緩和ケア研修会
・・という名前の研修会に参加しました。
九州大学病院が主催しますが、修了証書によると、
本研修会は「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」(平成20年4月1日付け健発第0401016号厚生労働省健康局長通知)にのっとったものであると認めます。
とあります。
がん対策基本法の施行、がん対策推進計画にもとずく、医師の研修です。
50名ほどの医師~病院の勤務医、開業医含めて~が集まって、講義を受け、ロールプレイを演じ、2日間みっちりと勉強しました。
実はこの研修を受けた動機は、緩和ケアに関する以下の診療報酬がこの研修を修了しないと請求できないということになっているためです。
・緩和ケア診療加算(400点)
・がん性疼痛緩和指導料(100点)
・がん患者カウンセリング料(500点)
・緩和ケア病棟入院料(3,780点)
不純な動機はさておき、実際に土曜日午後、日曜日の朝から夕方までの二日間をフルに使っての研修は、久しぶりに刺激的、感動的でした。
研修は、厚労省が作成した指針にしたがい、全国で同一のスライドを用い、ほぼ同じプログラムで行われているようです。
研修会を指導する指導者のための講習会、も開かれています。
刺激的だったのは、講師の方たちの熱心さ。
講師ばかりでなく、ファシリテーターと呼ばれるサポート役の先生たちが実に熱心でした。
一方的な講義ばかりでなく、講義の中にも近くの人たちと相談する時間を頻回に持ったり、グループワークで話し合いをしたり、ロールプレイで患者役、医師役、観察者を交互に経験したり、そのたびにファシリテーターがリードしてくれます。
はじめは医師同士の集まりで、プライドが邪魔してやりにくいのではないかと思いましたが、杞憂でした。
皆、積極的にディスカッションに参加し、患者になりきって演じていました。
NGOの活動の中では、このようなグループワークやロールプレイ、ワークショップはよくやりますが、医師の研修会ではめったになかったことではないでしょうか?
しかも、全国各地で同様の試みが行われているのです。
また、在宅ケア、緩和ケアに20年前から取り組んでいる一人として、緩和ケアの研修が全国で行われ、講師が在宅とのつながりに触れ、病院と在宅との連携を大きなテーマとして話すことなど、夢のような感じでした。
”感無量”でした。
政府の医療費抑制策の片棒を担いでいるのは確かですが、同時に国民の希望をかなえるためのワンステップでもあるのも間違いありません。
要は、現場の医師たちがどのように向き合うか、という問題だと思います。
ひとつだけ、問題を挙げるとすれば、緩和ケアの対象の問題です。
がん対策基本法に基づくとはいえ、WHOの緩和ケアの定義での対象は、「生命を脅かす疾患」であって、「がんだけ」ではないのです。
ここのところは、ずっと以前から言い続けてきたことですが、なかなか改善しないどころか、基本法ができて、ますます、緩和ケア=がんの緩和ケア、となってきていることを危惧します。
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