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2010年11月 9日 (火)

家族のケアの力 その1

土日で、3人の方が亡くなった。
いずれも、80歳前後の男性のがん患者さん。
原発がそれぞれ胃、肝、肺と異なっているが、いずれも主介護者が妻で、娘さんまたは息子さんが、同居か近くに住んでいて、介護に協力しているところも同じ。
この1週間あまりは、午前中訪問看護ステーション、午後からにのさかクリニックの訪問と、一日2回の訪問を行ってきた。
加えて、夜間に吸引などが必要なときは、訪問看護ステーションが呼ばれて出動した。

三人とも、奥さんや娘さん、息子さんたちに囲まれた、落ち着いた、穏やかな最期だった。

しかし、いずれも最初から在宅での最期を目指したわけではなかった。

三人とそれぞれの家族が、在宅ホスピスの中で、どのように、「ケアの力」「看取る力」を獲得して行ったのだろうか、振り返ってみたい。

Kさんは噴門部の胃がん。
まじめな人柄で、抗がん剤治療を開始したころ、夫婦ともにうつ病になったことがある。
娘さんが自宅近くに引き取り、最期の日々を支えてきた。
トイレ歩行が困難となり、オムツとなったが、本人はできるだけトイレに行こうとした。
夜間に排便があり、はじめて奥さんが一人でおむつ交換をした。大変だった。
翌日私が訪問すると、憔悴しきった奥さんから、「もう無理です。入院させてください。近くの○○病院にお願いしたい。」切り出された。
以前のうつ病のことや、退院前のカンファレンスで、不安が増強すると妻がパニックになるかもしれない、という私的もあった。また実際、小柄な奥さんが、大きなご主人を介護するのはかなり大変と思われた。

共倒れになることは本位ではなく、意識があり、症状が安定した時期を家で過ごすことを在宅ホスピスの目的と考えているので、最期まで自宅で過ごすことを無理強いすることはしない。
Kさんに関しても、そろそろ限界か、と思われた。

奥の部屋で、奥さん、娘さんに話をした。
夜間のおむつ交換や不安なときは、いつでも訪問簡素ステーション化当院に連絡してください。
そうやってあなたたちをサポートしたいと思っているのです。

それでも話しながら、すでに面談に行っているホスピスもあるが、奥さんの通うことを考えると、歩いていける近くの○○病院から、と考えていた。

結局、夜間でもいつでも応援することを伝えて、もう少しがんばってみることになったが、私の心の中では、入院して通うほうが、奥さんの負担が軽くなると考えていた。

翌日から、奥さんの表情が明らかに変わった。

不安がなくなり、穏やかに介護に当たるようになった。
自信が付いたような、覚悟しているような、そんな印象だった。

それから約1ヶ月。Kさんが亡くなったが、その間に奥さんから入院の話は全く出なかった。
そして土曜日朝、Kさんが亡くなった。
夜間のおむつ交換に、訪問看護師が呼ばれることも一度もなかった。

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