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2010年7月18日 (日)

脱出できますか?

78歳の女性の患者さんに、ベッドの上から尋ねられた。
慢性の肺疾患で寝たきり、酸素吸入をしているが、意識はしっかりしている。
数日前、ご主人から電話があり、覚悟の上で自宅に連れて帰りたい、と相談があった。
いつでも在宅を受け入れること、主治医とケアマネージャに相談して、来院してください、と伝えた。
数日後に、主治医の情報提供書を持ち、ケアマネージャと一緒に来院、相談を受けた。
急を要する事態ではなさそうで、私も週末に学会参加のため福岡を離れる予定だったので、「来週初めにどうですか?」というと、ご主人は渋った顔をした。
「明日にでも帰りたいのですか?」と問うと、そうだ、と答えた。

明日の退院を目標に、ご主人は主治医、病棟師長に話すこと、ケアマネージャにはベッドやポータブルトイレの手配とヘルパーの手配を指示して、その日の内に、入院中の患者を訪問することにした。

「脱出できますか?」・・・ベッドサイドに私たちが挨拶に行ったときに、彼女が発した言葉だった。

(退院するのが)不安です。
彼女は何度もくり返し言った。
足が立たない、支えてもらったら何とか立てるけど・・・
家での生活が想像できない、とも言った。

それでも
「脱出できますか?」

病院というものから脱出したいのか、そこでケアを受けているスタッフたちから脱出したいのか?あるいは?・・・・

翌日、彼女は無事に病院から”脱出”できた。 夫と二人きりの在宅生活に不安を感じながらも。 退院して数日。 今、彼女は穏やかに夫と二人きりの生活を送っている。

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