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2008年1月24日 (木)

シベリアでは・・・

まさとさんが98歳の誕生日を迎えた。
3ヶ月前までは元気で、人に迷惑をかけず、自分で何でもやっていた。
孫夫婦と同居し、孫のお嫁さんが何かとお世話をしていた。

夏に転んでから体調が悪くなり、肺炎で入院。
ようやく良くなって自宅に戻った。
まさとさんのお宅に通っている訪問看護ステーションから依頼があり、当院からの訪問を開始した。
いつも協力的で、熱心にケアをしてくれるステーションだ。
ターミナルの患者さんや、何かと問題の多い方の時には、うちに声をかけてくることが多い。

まさとさんの場合も、高齢で、心不全を合併しており、看取りも見据えた、きめの細かいケアが必要だと考え、当院に協力を求めてきた。
まさとさんは、住宅街の一軒家の古い家に孫一家と暮らしていた。
部屋には、ベッドから見える位置に、亡くなった奥さんとお姉さんの写真があった。
意識ははっきりしているが、耳が遠く、コミュニケーションがとりにくい。
下肢のむくみはあるが、呼吸は平静で、聴診上もほぼ正常。

お世話をしている孫のお嫁さんも、朗らかな感じの方で、2人の子どもを育てながら、おじいさんの世話に当たっている。話し振りにも屈託がない。
穏やかな在宅生活が続いて欲しい、と思ったが、100歳に近い年齢、肺炎を起こしたばかりで、心不全も慢性化しているようだ。いつ何が起こるかわからない状態だが、できれば最後まで自宅で看たい、という家族の気持ちも確認して、在宅訪問が始まった。

早速、翌日から37.5℃の発熱。抗生剤を開始した。
まさとさんは穏やかな性格で、コーラが大好き。
訪問中も、「コーラ!」と声を上げる。
しかしそれ以外には、特に欲しがるものはない。
多少具合が悪くても、ほとんど訴えない。

心不全症状が徐々に進行し、利尿剤も効きにくくなってきた。
足のむくみがひどくなり、呼吸も苦しそうだ。
「苦しくないですか?」と尋ねると、こう答えた。
「戦争中にシベリアに送られた。そのときの辛さに比べたら、これくらい何ともない。」
そばから孫のお嫁さんが、
「この人は、いつもこういうんですよ。」

在宅開始1ヶ月目に98歳の誕生日を迎えた。
「100歳で祝ってくれ。」という。

それから1ヵ月後。
孫のお嫁さんがオムツを換えようと体を動かし、戻したときに急に息が弱くなり、そのまま静かに息を引き取った。

まさとさんは、戦争やシベリアで亡くなった戦友たちの面影と一緒に、最後の日々を過ごしていたのだろうか。
今頃は、天国で戦友たちと、シベリアの思い出話や、戦後の日本の暮らしぶりなどを話しているのだろうか。

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