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2007年10月15日 (月)

ある症例

先週は、福岡県のある老人ホームとグループホームで、在宅ホスピスのアドバイザーとして講演と事例検討を行った。興味深い事例だったので、皆さんにも一緒に考えていただきたい。

70台後半、肺がんの男性。
老人ホームで長く暮らし、1年前に、関連のグループホームに移ってきた。
軽度の認知症はあるが、日常生活には支障なく、妻と子どもを亡くしており、毎朝仏壇を拝んでいる。
咳が続くので検査をし、手術不能の肺がんが見つかって約半年になる。
兄弟たちは、認知症もあるので、本人には告知しないという。
病院の医者は、告知しないのであれば、治療はできないという。
ホームの嘱託医は、夜間は往診しない、症状がひどくなれば、病院へ、という。
ホームのスタッフは、我慢強い本人の性格を知っており、また本人も「ここは居心地がいい」と気に入っている。できれば、ホームで最後まで看取りたいとリーダーたちは思っている。
さて、どうしたものか?

現在その方は、かかりつけ医で定期的に胸写を撮ってフォローしている。
喀血があり、ひどい咳が見られ、咽頭がごろごろ言うことが多い。
足が前に進みにくくなっているが、皆と一緒に食事をするのが楽しみで、食堂まで出かけてくる。

問題点を整理してみよう。
1)本人の意思がはっきりしない。
ホームのスタッフは、できればホームで、と考えているが、本人の意思は不明。
兄弟は、本人の意思を考慮していないようだ。
そもそも、本人の意思を尊重する、という考えを持たないのかもしれない。

2)医療スタッフの問題。
かかりつけ医、または嘱託医が看取りを含めたターミナルケアを受け入れるかどうか。
スタッフから働きかけることが可能かどうか。
また、ホスピスケアに対応できる訪問看護ステーションはある(この会議に参加していた)が、医師との連携がうまくとれない場合はどうなるか。

3)スタッフの負担の問題。
看取りの経験のないスタッフばかりという。
若い介護スタッフの中には、看取りを怖がったり、避けたりする人たちもいる。
また、実際に看取りを行うには、それなりの経験と技術と覚悟が必要だろう。
時間的、精神的にも負担が増えることが考えられる。

以上のような問題点を指摘した。
(次回に続く。)

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こんばんわ!TB失礼いたします!私のブログで最近からコラムを始めてみました!今日は医師の説明責任について書いています。読んで欲しくてTBを送りました。よかったら遊びに来て、感想を下さい!失礼しました [続きを読む]

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