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2007年9月 9日 (日)

いまどきのバングラ高校生(バングラ報告2)

P8210028今年のバングラでもっとも印象に残った場面です。
高校生との交流会。
『あなたの国で、誇りに思うことは何ですか?』と尋ねると、生徒たちが次々に立ち上がって答えました。
「自分たちの言葉で、自由にものが言えることです。」最初の男子生徒の答えです。続いて、「独立戦争で、200万人以上の人々が命を落としたので、今の私たちの生活があり、勉強ができます。」
どの生徒も、何の準備もないのに、すくっと立ち上がり、きびきびと答えます。


「自然と緑に恵まれています。コックスバザールには、世界一長い海岸があり、美しい白い砂浜があります。」生き生きと、輝く瞳でかたります。
「パキスタンがウルドゥ語を押し付けようとしたとき、自分たちの国語を守るために、大学の学生が立ち上がり、殺されました。」
「タゴールがノーベル文学賞を受けました。」
誇りを持って語る彼らの言葉に、ジーンときました。
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続いて、『バングラの問題点は何ですか?』と聞いてみました。
一人の女生徒が立ち上がって、一気に問題点を挙げました。
人口が多い・汚職・失業・識字率が低い・早期結婚・DV(家庭内暴力)・食料が足りない・医療が不十分・自然災害(洪水、旱魃)・・・
男の子が追加します。「いい指導者がいない」

『では、問題点を解決するには、あなたは何ができると思いますか?』
「自分が教育を受けて、汚職のない社会を作りたい」
「周りの人に呼びかけて、意識変革をしていきたい」
「教育を受けられるような運動を広げたい」
「汚職のない社会を作りたい。そのために、上からの方法として、政治家が制度、法律を作る。下からの動きとして、社会活動家が人々の意識変革をはかるべきだ。」

次々に意見が述べられます。
男の子も、女の子も、誰が発言しても、きびきびとしていて、はっきりと自分の意見を述べてくれました。
また、ラフマン氏や私が意見を述べると、食い入るような目で聞き入っています。
「日本で博士号を取るためにはどうすればいいですか?」と聞く女の子もいました。

「バングラでは、NGOなどを通して、日本のことを知る機会が多いが、日本人はバングラのことを学んでいるのですか?」という質問が出たときには、正直言葉につまり、恥ずかしく思いました。
彼らが日本のことを思っているほどには、日本人はとてもバングラのことを考えていない。せいぜい、暴動があったり、洪水や事故があったりしたときだけ、ニュースになるくらいです。・・・皆さんなら、どう答えますか?

私は、『日本人はバングラのことをよく知りません。でも、NGOなどは地道にバングラのことや途上国のことを人々に知らせる努力をしています。』と答えました。とてもあいまいな答えで、食い入るように見つめる彼らの目を見て、冷や汗が出ました。

日本に帰って、高校生の話をする機会がありました。
日本人は、『いまどきの日本の高校生だったら、こんなに手ごたえはないわよねえ。』と口をそろえます。
ふと気がつきました。

わたしたち日本の大人はどうなんだろう。
政治家の汚職、腐敗はバングラに劣りません。
食料自給率はバングラに劣るでしょう。
経済的、医療の格差は、貧困の感覚としては、バングラ以上かも?
それに対して、私たち日本の大人は、どう考え、どんな発言・行動をしているのだろう?
比較すべきは、日本の高校生ではなく、私たち自身なのではないでしょうか。

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