バングラ医療事情(バングラ報告5)
バングラは、人口約1億4千万人。わが国を上回る人口を抱えています。
そのうち、大部分は農村に住んでいます。
また都会に住んでいる人たちの中にも、スラムなど貧しい人たちも多数います。
貧困と不衛生は、この国の健康事情を大変悪化させています。
医療資源(医師や病院など)を比較してみましょう。
人口は、わが国とほぼ同じと考えてみると比較しやすいかと思います。
医師数は約2万人といわれています。
わが国が20万人超ですから、約10分の1。
看護師数はわが国が約100万人と言われていますが、イスラム教で女性の社会進出が遅れているバングラでは、医師数より看護師数が少ないと思われます。
医療機関の数は、おそらく日本の10分の1以下だと思われます。
この国では、原則として病院、医療は国営で、政府の病院が全国にある、という建前になっています。
しかし、地方では数十万人の地域に、ヘルスコンプレックスといわれる保健所兼病院のようなものがある程度です。また、そこでは医師も看護師も、薬も設備も圧倒的に不足しています。
健康保険のシステムがないことも大きな問題です。
もちろん、その日の生活にも事欠く人々が多いので、将来の病気に備え皆で出し合って保険を作り、支えていくということは大変困難なことです。
前述のように政府の病院は無料ですが、薬や注射、点滴などは別に購入しないといけないようになっているようです。貧しい村人のそれらを買うことはまず不可能です。
都会と農村の医療格差も大きな問題となっています。
都会では、大きな民間病院も見られるようになって来ました。都会の富裕層を対象としたものです。
お金持ち、日本などの外国人は、それらの病院で、日本とほぼ変わらないような医療を受けることができます。
しかし、お金のない村人にとっては、無縁の存在です。
都会と農村、金持ちと貧乏人との格差は、ますます大きくなりつつあります。
これは、医療に限らないさまざまな問題を生み出しています。
人々の健康、医療に関する意識の問題も指摘しておく必要があります。
今回の訪問でも、何人かの患者を診察しました。
簡単に言うと、医療資源が乏しいから逆に、医療への依存、期待が異常に高い、と感じます。
自分たちの健康を、自分たちで作ろうという意識を育てることも重要だと感じました。
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